別離

“銀行員のナデルは、妻のシミン、11歳の娘のテルメ、アルツハイマーになりかけた父の4人暮らし。シミンは娘の将来を考え、移民を申し込んでいたが、ナデルは父を置いていけないと同行を拒否。そこから、離婚話となり、シミンは家を出て実家で暮らし始める。
父の介護のために、シミンの義姉の知り合いであるラジエという女性を家政婦として雇うが、ラジエにとって4歳の娘ソマイエを連れて他人の家で家事をするのは容易なことではない。
老人が粗相をしてしまうと、信仰心の強い彼女は途方に暮れる。
汚れた衣服を着替えさせるために異性の身体に触れることはイスラムの教えに反していないだろうか?
ちょっと目を離したすきに家を出て徘徊する老人を慌てて追いかけるラジエ。
その翌日、ラジエが家を空けていた間に帰宅したナデルは、一人、家に残されてベッドから落ちていた父に気づき、激高する。戻ってきたラジエを力尽くでドアの外に閉め出そうとして、彼女が階段で転び、その後、流産してしまう。怒ったラジエの夫ホジャットは、ナデルを殺人罪で告訴する。
ナデルはラジエが妊娠中であることを知っていたのか?
ラジエの流産の原因は、ナデルに押されたせいなのか?
離婚の協議も、殺人や傷害の訴訟も、それぞれが自分の立場を主張する時はとことん譲らない。「強く言ったものが勝ち」という意識に加えて「プライド」「信仰」「家族の平安と幸福への配慮」といろいろな要素も絡んで、二転三転する展開と巧妙に張られた伏線です。
最後まで息もつかせない脚本が見事です。
また、演じる俳優たちが皆すばらしくうまいです。
娘テルメを演じたのは、監督の実の娘で、これが映画初出演だったとか。
幼いソマイエを演じた女の子の自然な演技も感嘆ものです。
監督の言葉に「探偵のいない探偵映画」とあったがまさにその通り。
観客は答えのない謎解きに参加しつつ、イラン社会の苦悩をほろ苦く見つめることになります。
この監督の前作「彼女が消えた浜辺」も見てみたいと思いました。 ”

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